COLUMN / CARE PLAN REVIEW
ケアプラン点検委託業者の選び方 自治体担当者が確認したいポイント
ケアプラン点検を外部の事業者へ委託する場合、 「どの業者に依頼するか」だけでなく、 何を目的として、どのような方法で点検し、点検後の改善までつなげるか を整理しておくことが重要です。
ケアプラン点検は、単にケアプランの記載内容に誤りがないかを確認する作業ではありません。 利用者の尊厳の保持や自立支援に資するケアマネジメントとなっているかを確認し、 介護支援専門員の「気づき」を促し、よりよいケアマネジメントにつなげていく取組です。
本記事では、自治体・保険者が ケアプラン点検委託業者を選ぶ際に確認しておきたいポイント を、制度上の位置付けから実際の委託業務まで整理します。
1.ケアプラン点検を委託する前に考えたいこと
ケアプラン点検を委託する際には、最初に 「何のために点検を実施するのか」 を明確にしておくことが重要です。
ケアプラン点検は、介護給付の適正化だけを目的とするものではありません。 利用者の状態や生活課題を踏まえたケアマネジメントが行われているかを確認し、 介護支援専門員と保険者がともにケアマネジメントについて考える機会として活用することが重要です。
委託前に整理しておきたい3つの視点
- 自治体としてケアプラン点検で確認したい課題は何か
- どのようなケアプランを点検対象とするのか
- 点検結果をどのように事業所・介護支援専門員への支援や改善につなげるのか
この目的が曖昧なまま委託先を決めてしまうと、 「点検件数をこなすこと」が中心となり、自治体として本当に確認したかった課題が見えにくくなる可能性があります。
2.ケアプラン点検の制度上の位置付け|地域支援事業の任意事業
ケアプラン点検を委託する場合には、 まず制度上の位置付けを理解しておくことが重要です。
ケアプラン点検の位置付け
ケアプラン点検は、 地域支援事業の「任意事業」に含まれる「介護給付等費用適正化事業」 に位置付けられる取組です。
厚生労働省の「地域支援事業の実施について」では、 任意事業の「介護給付等費用適正化事業」について、 介護給付等について真に必要なサービス以外の不要なサービスが提供されていないかを検証することや、 適切なサービス提供のための環境整備、介護給付等に要する費用の適正化を図ることが示されています。
また、ケアプラン点検は介護給付費適正化の主要な取組として位置付けられています。 厚生労働省は、ケアプランの内容について市町村職員等が点検・支援を行うことにより、 個々の受給者が真に必要とするサービスを確保するとともに、 状態に適合していないサービス提供の改善を図るものとしています。
委託する場合でも「保険者の役割」はなくならない
ケアプラン点検の実施主体は市町村(保険者)です。 そのため、外部の事業者等へ業務を委託する場合でも、 保険者が責任を持ってケアプラン点検に関わること が重要です。
したがって、委託業者を選定するときには、 「点検を代わりに実施してくれる会社か」という視点だけではなく、 自治体の方針を理解し、保険者と連携しながら点検を進められる事業者か を確認する必要があります。
特に、点検を単なるチェック作業として終わらせるのではなく、 点検結果を介護支援専門員の「気づき」やケアマネジメントの質の向上につなげられるかどうかは、 委託先を選ぶうえで重要なポイントです。
3.ケアプラン点検を委託する基本的な流れ
ケアプラン点検の委託は、一般的に次のような流れで進めます。 自治体の課題や実施方法によって具体的な内容は異なりますが、 「対象者を選んで点検する」だけでなく、点検後の改善までを一連の流れとして考えることが重要です。
① 自治体の目的・方針を共有する
最初に、自治体がケアプラン点検によって確認したい事項を委託業者と共有します。 例えば、ケアマネジメントの質の向上、介護給付の適正化、特定のサービス利用状況の確認など、 自治体によって重点課題は異なります。
② 点検対象を選定する
点検対象を一律に抽出するのではなく、 給付実績や認定情報、国保連合会の帳票、地域のサービス利用状況などを踏まえて、 課題が想定される対象を選定する方法も考えられます。
③ ケアプランを点検する
アセスメント、課題分析、長期・短期目標、サービス内容、モニタリングなど、 ケアマネジメントのプロセスを踏まえて確認します。
④ 必要に応じてヒアリングを行う
ケアプランの記載だけでは判断できない背景があります。 利用者の生活状況や本人・家族の意向、サービス導入に至った経緯などを確認することで、 ケアプランの意図を理解したうえで点検を行うことができます。
⑤ 結果を報告し、改善につなげる
点検結果を個別の指摘で終わらせず、 自治体全体の傾向や共通する課題を整理し、 研修や情報提供、次回点検の対象選定などに活用することが重要です。
4.ケアプラン点検委託業者を選ぶ際の7つのポイント
ケアプラン点検委託業者を選ぶ際には、 価格だけではなく、実際にどのような点検を実施できるかを確認することが重要です。
ケアプラン点検の実績・専門性
自治体・保険者からのケアプラン点検業務の実績だけでなく、 介護保険制度、ケアマネジメント、介護給付適正化について十分な知識と経験があるかを確認します。
自治体の目的を理解できるか
自治体ごとの地域課題や介護給付の状況を踏まえ、 「何を確認するための点検なのか」を理解して業務を設計できるかが重要です。
点検対象の選定まで考えられるか
単に自治体から渡されたケアプランを確認するだけでなく、 給付実績等を活用して点検対象を考えることができるかを確認します。
ケアマネジメントのプロセスを見られるか
ケアプランの文章やサービス量だけを見るのではなく、 アセスメントから目標設定、サービス提供、モニタリングまで、 ケアマネジメントの一連の流れを確認できることが重要です。
ヒアリングまで対応できるか
ケアプランの記載だけでは判断できない事情を確認するため、 介護支援専門員との面談・ヒアリングまで対応できる体制があるかを確認します。
報告書の内容が自治体で活用できるか
件数や指摘事項だけを並べるのではなく、 全体傾向、課題、改善の方向性などを自治体の施策に活用できる形で整理できるかを確認します。
個人情報・情報管理に対応できるか
ケアプランには利用者の個人情報が含まれるため、 個人情報の取扱い、データ管理、資料の受け渡し、業務終了後の情報管理などについて、 自治体として確認しておく必要があります。
5.委託費だけで判断しないことが重要な理由
ケアプラン点検の委託先を選定する際には、 見積金額が重要な判断材料の一つになります。 一方で、価格だけで委託先を決めることには注意が必要です。
ケアプラン点検は、単純な書類確認だけで完結する業務ではありません。 点検対象の選定、資料確認、ケアマネジャーとのヒアリング、結果整理、報告など、 どこまでを委託業務に含めるかによって業務量は大きく変わります。
委託費を比較するときは、単価だけでなく、 対象件数、点検方法、ヒアリングの有無、報告内容、分析の範囲など、 委託業務の内容を合わせて比較することが重要です。
また、地域支援事業交付金については年度ごとの実施要綱・交付要綱等を確認する必要があります。 委託費の財源や自治体負担について検討する場合も、 当該年度の制度・交付要件を確認したうえで判断することが適切です。
6.データを活用した点検対象の選定
ケアプラン点検を効果的に実施するためには、 「誰のケアプランを点検するか」という対象選定も重要です。
厚生労働省の介護給付適正化に関する考え方でも、 国保連合会の介護給付適正化システムから出力される給付実績等の帳票を活用し、 効果等が期待される帳票を優先して点検を行うことが重要とされています。
データ分析とケアプラン点検をつなげる
- 給付実績からサービス利用の特徴を把握する
- 認定情報とサービス利用状況を確認する
- 地域全体の傾向と個別ケースを比較する
- 点検対象を一定の考え方に基づいて選定する
- 点検結果を再び地域全体の課題分析に活用する
例えば、特定のサービスの利用割合が高いケース、 サービス利用量に特徴があるケース、 認定状況とサービス利用状況の組み合わせから確認が必要と考えられるケースなど、 自治体が把握している課題に応じて対象選定の視点を設定できます。
そのため、委託業者を選ぶ際には、 ケアプランそのものを点検する能力だけでなく、給付データ等を踏まえて点検対象を考える能力 があるかどうかも確認するとよいでしょう。
7.点検後の報告・改善まで対応できるか
ケアプラン点検では、点検を実施して報告書を提出したところで終わりにするのではなく、 結果を次の取組につなげることが重要です。
個別の点検結果を整理する
個々のケアプランについて、確認した事項やケアマネジャーとの意見交換の内容を整理します。 単純な「○・×」の評価だけではなく、改善や気づきにつながる形で整理することが重要です。
自治体全体の傾向を把握する
複数のケアプランを点検した場合には、 個別ケースだけではなく、共通して見られた課題を整理します。
研修・情報提供につなげる
点検結果から共通する課題が見つかった場合には、 介護支援専門員向け研修や情報提供など、 地域全体のケアマネジメントの質の向上につなげることができます。
点検を「PDCA」にする
対象を選定する → 点検する → 結果を分析する → 改善する → 次年度の点検や施策に反映する、という流れを作ることで、 ケアプラン点検を一過性の事業ではなく、 継続的な介護給付適正化・ケアマネジメント支援につなげることができます。
8.ケアプラン点検委託業者を選ぶためのチェックリスト
委託業者を比較する際には、次の項目を事前に確認しておくと、 自治体が求める業務内容とのミスマッチを防ぎやすくなります。
- 自治体・保険者におけるケアプラン点検の実績がある
- 介護保険制度・ケアマネジメントについて十分な専門性がある
- 自治体の目的・方針を踏まえて点検方法を設計できる
- 給付実績等を活用した点検対象の選定について提案できる
- ケアプランの記載内容だけでなく、ケアマネジメントのプロセスを確認できる
- 介護支援専門員とのヒアリング・意見交換に対応できる
- 点検結果を自治体が活用しやすい報告書として整理できる
- 個別ケースだけでなく、地域全体の傾向を分析できる
- 点検後の改善・研修・情報提供まで含めた提案ができる
- 個人情報・機密情報を適切に管理できる体制がある
- 委託業務の範囲と費用の関係が明確になっている
- 自治体側と十分に連携しながら事業を進められる
9.株式会社hoodのケアプラン点検支援
株式会社hoodでは、自治体・保険者向けに、 ケアプラン点検に関する業務を支援しています。
ケアプランを確認するだけではなく、 点検対象の選定、ケアプラン点検、ヒアリング、結果整理、報告、改善 までを一連の取組として捉え、 自治体の課題や地域の実情に応じた支援を行います。
データと地域特性を踏まえた対象選定
給付実績、認定情報、国保連合会帳票等を活用し、 自治体が確認したい課題に応じて点検対象を検討します。
ケアマネジメントのプロセスを踏まえた点検
利用者の状態、生活課題、本人・家族の意向、 アセスメント、目標、サービス内容、モニタリング等を確認します。
ヒアリングによる背景確認
ケアプランの記載だけでは判断できない事情を確認し、 介護支援専門員との対話を通じて「気づき」につながる点検を行います。
点検結果を自治体の施策につなげる
個別ケースの確認だけでなく、 点検結果から地域全体の傾向や課題を整理し、 今後の研修・情報提供・介護給付適正化等への活用を支援します。
地域のケアマネジメントの質を高め、 利用者の自立支援につながるケアプランを考えるための機会として活用することが重要です。
参考資料: 厚生労働省「ケアプラン点検について」
厚生労働省「地域支援事業の実施について」 「介護給付等費用適正化事業」
厚生労働省「ケアプラン点検に関する規定」
※地域支援事業・介護給付費適正化に関する制度や交付金等については、 実施年度の最新の通知・実施要綱・交付要綱等をご確認ください。
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